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悪魔くん・その他いろいろと語る場所
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 以前、12話以降をどういう展開にしようか迷ってて、結局これを没にして今のような流れにしましたいまごろなんとなく出してみる……!
 推敲してないしちゃんと書きこんでないので見づらいかと思いますが、興味のある方はさらっと流し読みしてやってください! こんな展開を最初考えてたんだなってことで!

ユートピア「12話 接触」 思いっきり没にした12話です。
 
 
 もう一週間になるというのに何の異常もない。準備だけは万端だというのに。ごく普通の進学塾のありふれた授業を受けながら、真吾は欠伸をかみ殺した。
 両親と妹は驚いていたが、説得は真吾の十八番だ。相手が悪魔でも人間でも基本は同じだった。あの逆五芒星が発動した日、真吾にとって運命の分かれ道だったあの日、情報屋の言葉通り抜き打ちの実力テストが行われた。その成績上位者たちに起き始めている異変は、あの逆五芒星と何か関係があるに違いない。
 あとで冒頭かえる
・この辺に逆五芒星の説明を入れる
睡眠時間が異常に長くなり、ついには目覚めないものまで出始めた。彼らの共通点は、実力テストの上位者であること、そして最近新しくできたばかりの進学塾に通っていたこと。その日真吾は例の髪切り魔の事件で欠席していたため入塾テストを受けるはめになったが、それは全く問題ではなかった。手がかりが何一つない今、迷いを抱きつつも真吾は潜入を試みるしかなかった。
(もしくは強制的に? 生徒を集める)
 
「さあみなさん。今日はスライドショーを見ながらお勉強しましょう」
 分厚いカーテンが引かれ照明が消えると、教室は人工的な闇に包まれた。魔の世界に片足どころか首までどっぷり浸かっているせいか、闇は真吾に心地よさをもたらしてくれた。陽の光の温かさもいいけど、闇の深さも僕は好きだな。
 台形、二等辺三角形、楕円、次々と図形が映し出された。真吾はそれをぼんやり眺める。それから十分余り経った頃だろうか、隣に座っていた生徒が真吾の肩にこつんともたれかかってきた。居眠りなんて、ここの塾生にしては珍しいな。起こしてあげようと肩に手をかけ、そして異変に気づいた。すっかり闇に慣れた目で辺りを見回すと、意識があるのは真吾だけで、いつの間にかスライドショーも止まっている。ドアが軋んだ音を立て、真吾はとっさに机に顔を伏せた。どうやら講師が教室を出たようだ、そして入れ替わるように誰かが来た。
 小声過ぎて聞き取れないけれど、話し声がする。一人じゃない、もう一人、誰かがいる。
その内の一人が机の間をゆっくりと歩いてくる。
 真吾は薄目を開けた。大柄な男だ。男は真吾の隣でぴたりと止まり、真吾の癖のある髪にそっと触れた。真吾の小さな心臓がびくりと跳ね上がり、手の平にじわりと汗が吹き出してくる。大人に頭を撫でられるなんて久しぶりだ。ああ、僕は何を考えてるんだろう、落ち着かなきゃ。
「知ってるんだよ、君のこと」
 真吾は小さく身体を震わせるが、目を開けたりはしなかった。そんなはずはなかった。人間で真吾のことを知る者はごくわずかのはずだ。あの逆五芒星の結界の中でも、術者の男との接触は最小限だったはずで、運悪く迷い込んだ子供、程度の認識しかないはずだ。なのにどうして。
 照明が戻り、甘い香りが漂ってきた。覚えのある香りだ。真吾はもどかしい思いで記憶をたぐり寄せる。思い出せない、でも僕はこれを知っている。甘く危険な香り、嗅いだのはつい最近だ。記憶の回路がぱっと繋がると同時に真吾は跳ね起きた。けたたましい音を立てて椅子が倒れる。目の前には、捜し求めていたあの逆五芒星の男、そして、館の悪魔の屋敷で出会ったあの緑の悪魔がいた。
「レラジェ……」
 緑の悪魔の耳まで裂けた唇が動く。
「あの饗宴以来だね、シンゴ」
 真吾は唾を飲み込もうとしたが、喉はからからに干上がっていた。緑の悪魔の脇をすっと通り抜け、あの逆五芒星の男が真吾の前に立った。真吾はじっとり汗ばんだ拳を握り締めた。
「君も悪魔だそうじゃないか。人間の子供に化けるのが随分上手いんだね」
 全く予想していなかった言葉に、真吾は絶句した。
 一体何をどう勘違いしたら僕が悪魔ということになるんだ? 戸惑ったが、すぐに一つの簡単な事実を思い出した。緑の悪魔レラジェだ。確か彼は断罪の間には来なかった、だからいまだに僕が高位の悪魔だと思っているんだ。この人はあの逆五芒星の力を使って悪魔を呼び出し、そして契約したのだろう。よりにもよって、この緑の悪魔レラジェと。なんて偶然、なんて皮肉だ。どうやら僕は本当に、混乱と戦いと革命の星のもとに生まれたらしい。
「隠さなくていいんだ。どうだ、一緒に楽しまないか。味方は多いほうがいい。私と契約を結ばないか?」
 真吾は目を見開いた。
 
「どうして、力がほしいんだ」
 長いような短いような時間が流れ、真吾はやっとの思いでそれだけ口にした。
「退屈だからだ。知能を持った生き物は人間であれ悪魔であれ、結局争うようにできているんだ、そう思わないか? 支配されるよりはするほうがいい、ただそれだけの話さ。力があればこの世界をもっと刺激に満ちた楽園に変えることができる」
 真吾は慎重に言葉を選んだ。
「この町に逆五芒星を描いたのはあなただよね」
「そうだ。あの時得た力のおかげで、しばらく退屈せずにすみそうだよ」
 どうする。どうすればいい。考えようによっては好機だ。捜し求めていた髪切り魔、逆五芒星でみんなの魂を削り取った男が目の前にいる。僕はこの人を救いたいんじゃなかったのか。忘れたのか。僕は傲慢にもそう宣言したはずだ、第一使徒メフィスト2世に。
「それで、埋れ木真吾くん。君は私の味方かな?」
 それとも、と男は一瞬間を置いてから、この場には不釣合いな笑みを浮かべて付け加えた。
「私の敵かな?」

 という話にしようかなって思ったんですが結局使わなかったのでした!
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