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悪魔くん・その他いろいろと語る場所
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 探したら没にした話の続きの続きもあった!
 没にした理由はなんだったんだっけ……真吾くんいろいろと悩みまくってるのに自分からがんがん捜査して攻めていくのは不自然かもしれない、と思ったからだった、確か悩みモードに書き直したけど上手くいかなかったので結局12話以降は最初から考え直しました。あと、これを書いていた時点では逆五芒星の男の性格がはっきりしてなかったからでした。結局あんなキャラに落ち着いた!
 実質14~5話? になってたかもしれない没話の続きの続き。
 例によって推敲もしてないし隙間だらけですが興味のあるかたはさらっと読み流してやってください! 


 ユルグ、妖虎、鳥乙女を帰し、何かいいたそうなメフィスト2世から目を逸らし、真吾は黙々と宿題を済ませる。夕飯を無理やり口に詰め込み、たっぷり三十分は湯船に浸かった。メフィスト2世と百目が一度に入ろうとしたせいで湯はほとんどなくなっていた。後でエツ子に文句をいわれるな。何の気なしに顔を上げるとガラス越しにぼんやり丸い月が見えた。

 
 目を閉じたらすぐに眠りに落ちてしまうだろうと分かっていたから、真吾はくっつきそうになる両の目に力をこめた。そして考えた。そうせずにはいられなかった。
 悔しいけどあの逆五芒星の男、抜け目がなかった。予想はしていたがあの進学塾とは何の関わりもなく、ただ魔術による恐怖で支配していただけだったのだ。隠れていた講師たちを見つけて情報を集めようとしたものの、彼らは悪魔たちを従えた真吾に心底怯えきっていた。
 十二使徒は善なる悪魔なんだ。今まで何度も君たち人間を救ったんだよ。誠心誠意語りかけたつもりだったけれど、結局最後にものをいったのは力だった。妖虎の大きく裂けた口から覗く鋭い牙やユルグの身体にまとわりつく魔の炎に、講師たちは洗いざらい話してくれた。といっても、ただ突然現れた男に魔術で支配されていたということ以外、これといって役立つ情報はなかったが。百目を召喚し、彼らの記憶は消したけれど……。
 
 今まで僕がしてきたことは一体何だったんだろう。誰もが幸せに暮らせる理想郷を目指していたはずなのに、なのになぜ中途半端な状態で僕と十二使徒は別れなければならなかったのか。世界を支配しようとしていた東嶽大帝を倒し、真吾の前に立ち塞がっていた大きな障害は消えたはずだ。これからという時に、僕は十二使徒と別れ、ソロモンの笛を手放した。なぜ、僕はただの子供に戻ったんだ? 
「ファウスト博士だ」
 そうだ、ファウスト博士がそういったからだ。それぞれの故郷に戻り、各々使命を果たせと。
「でも、なぜそうする必要があったんだろう?」
 今の真吾にはその答えがよく分かっていた。考えがまとまりかけたところで、真吾は眠りに落ちた。
 
 
 吹きすさぶ冷気に目を覚ますと、荒涼とした地が広がっていた。
身にまとっているのはパジャマのみ、裸足だった。
「メフィスト2世! 百目!」
 叫んでみたものの、真吾は一人ぼっちだった。ただただ無機質な不毛の地がどこまでも続く中、真吾はおぼつかない足取りで歩き始めた。
「こんにちは、埋れ木真吾くん。いや、悪魔くんと呼んだほうがいいか」
 どこからともなく聞こえてきた声に、真吾は辺りを見回した。
「誰だ」
 問いかけては見たものの、分かっていた。あの逆五芒星の男だ。なぜ僕のことを、と尋ねかけたが、止めた。闇の世界に片足を突っ込んでいれば、すぐに分かる。
「どうやら君は、私の敵のようだな。ここは君の夢の中だ。昼間はゆっくり話す時間がなかったものでね、こうしてお邪魔したわけさ」
「違うよ。僕はあなたと戦いたくないんだ。ねえ、こんなことをしてもあなたが辛くなるだけだよ。今からでも遅くないから、子供たちから奪った魂を返してほしいんだ」
 男からは何の反応もなかった。これは夢だ。ただの夢のはずなのに、心も身体も凍えてしまいそうだった。
「ねえ、聞いてるの?」
 聞いているとも。抑揚のない低い声が四方八方から聞こえてきた。
「本来なら私はメシアの意識に入り込めるはずはなかった。なのにこうしていられるのは、君の心に迷いがあったからだよ、埋れ木真吾くん。逆に私が提案しようか。君は普通の少年に戻ったほうがいい。今からでも遅くはない、この世界は君の手には負えないよ。可哀想な坊や、私が君を助けてあげたいくらいだ。メシアとしての重責に押し潰されそうになっているんじゃないのか? 坊や、この世はもう少し混沌としていたほうが面白いんだよ。気に入らない世界なら、変えてしまえばいい。真吾くん、君のしていることもそれと同じだよ。君はこの世界が自分の理想と合わないから変えようとしているんだろう。君に私を止める資格と覚悟があるのか? 可哀想だけど邪魔をするなら、君に宣戦布告せざるを得ない。だから気をつけるといい、日常生活には危険がたくさん潜んでいるからね、いつどこで何が起こるか分からない」
 否定することも反論することもできず、真吾は黙って男の言葉を聞いていた。
 鋭利な刃物のような突風が真吾を襲った。とっさに両腕で頭を抱える。真吾の薄い皮膚が切り裂かれ、幾筋もの痛々しい傷が残った。足元の地面が割れ、瞬く間に崩れて行く。
 僕は十二使徒と共に巨大な悪を倒した、だけど、めでたしめでたし、みんな幸せに暮らしましたのおとぎ話のようには行かないのだ。
そう思ったところで目が覚めた。


 微妙にちょっとずつ違う没話でした。
よく考えたらこのネタあとで使えばよかったかも……。でもまあいっかあ情報屋の伏線はなかったことにしよう……あれはただのおしゃべりだ!
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