悪魔くん・その他いろいろと語る場所
実質13話? になっていたかもしれない没にした12話の続き
推敲もなにもしてないのでめちゃくちゃ読みにくいです。興味のある方は読み流してください……。

推敲もなにもしてないのでめちゃくちゃ読みにくいです。興味のある方は読み流してください……。
正体を明かすか調子を合せるか迷う真吾
いっそ契約するふり?
真吾の沈黙を男は別の意味に捉えたのか、
「ああ、代償ならきちんと払う。そうだな、手始めにこの教室にいる子供たちの魂、でどうかな? 不足ならもっと考えてもいい」
「そんなことは止めろといったら?」
男は不思議そうな顔をした。
「別に契約してくれなくとも構わんが、邪魔をするなら容赦はしないぞ」
なぜ僕は迷っているんだ。かつて東嶽大帝と死闘を繰り広げていた頃の僕なら、ここまでためらったりしなかった。この人は後悔なんてしていないし、邪魔となれば迷わず僕を殺すだろう。でも僕には人殺しなんてできない。
「そうだ。そんなことはさせない。絶対にあなたを止めてみせる」
そして今のこの僕のやり方は、愚かさの極みなんだろうな。
僕は一体どうしたんだ?
男の顔に張り付いている笑みが濃くなり、緑の悪魔から発せられる魔力がぐんと濃くなったのを真吾は感じる。
「僕はあなたと戦うつもりはなかった。今からでも遅くないから、考え直してほしいんだ」
「悪魔の癖に変わってるな、ここは君の縄張りなのか? 残念だよ」
真吾は両手を静かに上げた。
「エロイムエッサイム、エロイムエッサイム。我は求め訴えたり」
男が怪訝そうな顔をして緑の悪魔を見た。レラジェは軽く肩をすくめた。
「出でよ、第一使徒メフィスト2世、第二使徒ユルグ、第七使徒妖虎、第十使徒鳥乙女」
真吾は淡々と呪文を唱えた。いつもの歯切れのいい唱え方ではなく、重く沈んだ詠唱だった。そうだ、僕はこんなことしたくないんだ。人間相手に戦うなんて、今まで考えたこともなかった。違う、嘘をつくな。考えたくなかったんだ。
「あなたのやり方を真似させて貰ったよ」
疲れたようにいう真吾。
回想。あらかじめ男の逆五芒星と同じ手法で円陣を描いておく。
もしくはこのシーンは最初に
場所が絞れているのなら、あらかじめ用意しておけばいい。そう、準備だけは万端だったのだ。
渦巻く煙幕の中心から咆哮が聞こえた。既に変化していた妖虎が低い唸り声を上げているのだ。
「ああ、なるほど。シンゴ……君がそうだったのか。この子は悪魔じゃない、人間の坊やだ」
緑の悪魔が告げ、男は興味深そうに真吾をしげしげと眺めた。
「どうりでおかしいと思ったよ。もっとも、ただの子供ではなさそうだが」
メフィスト2世は真吾を庇うように杖を静かに持ち上げた。ユルグは手の平を合わせて攻撃の構えを取り、妖虎は鋭い爪を床に食い込ませ上体を低く倒す。優雅に翼を広げた鳥乙女は戦女神のようだ。戦いたくないといっておきながら、僕が選んだのは高い攻撃力を誇る使徒ばかりじゃないか。僕はどうしちゃったんだろう。めちゃくちゃじゃないか。昔の僕は、もっと合理的だったはずなのに。
緑の悪魔を中心に闇が集まる。何もない空間に亀裂が生じ、幾何学的な模様を生み出した。転移の魔法陣だ。
「逃がすか! 魔力、稲妻電撃!」
真吾が止める間もなく、メフィスト2世の攻撃が男に迫る。男は慌てた様子もなく右手で大きく円を描いた。メフィスト2世の放った電撃が男とレラジェの手前で弾け飛ぶ。一瞬散った火花に真吾の目は眩んだ。
「俺の稲妻を跳ね返しやがった……」
たかが人間相手に、とショックを隠しきれない様子のメフィスト2世の脇をすり抜け、ユルグが狐火を放った。メフィスト2世が間に立って庇ってくれているというのに狐火の威力は凄まじく、真吾のむき出しの腕はひりついた。
自分自身のショックの大きさに、真吾は驚いていた。自分に敵対する者が今回たまたま人間だった、ただそれだけのことのはずで、覚悟はできていたはずだった。
「悪魔くん」
僕の第一、第二、第七、第十使徒が指示を待っている。僕が決断しなければならない。ろくに考えがまとまらないまま、真吾は過去の戦闘の記憶そのままに機械的に命令を下した。
「メフィスト2世、ユルグ、妖虎、鳥乙女……あいつらを追って、捕まえるんだ!」
命じられるまま使徒たちは攻撃を繰り出す。真吾はそれをただ眺めていた。メフィスト2世が叩き付けた氷の魔力を、レラジェはたった今作り出したばかりの魔法陣に送り込み消滅させた。鳥乙女の作り出した旋風が男をひるませたが、吹き飛ばすにはいたらない。ユルグが生み出した灼熱の狐火を妖虎が受け止め、炎と共に吐き出すが、男の結界に受け流される。
本当に僕は一体どうしちゃったんだろう。ソロモンの笛は今どこにあるんだろう。ファウスト博士はどうして連絡をくれないんだろう。人間界の異変に気づいてもよさそうなのに。本当に僕がメシアでいいんだろうか。
男とレラジェが空間の裂け目に身を躍らせた。さきほど上の空で真吾が下した命令通りに、使徒たちは魔法陣へ潜り込もうとしていた。
真吾は叫んだ。
「待て! もういい、追うな!」
僕は何をいっているんだろう。
突然の命令変更に戸惑いながらも、四人の使徒たちは真吾に従った。支離滅裂な指示を下したにも関わらず、使徒たちは文句をいうわけでもなくやけに優しい目で真吾を見ている。メフィスト2世が真吾の肩にそっと手を置いた。不思議に思っていると今度は鳥乙女が真吾の頬にすっと手を伸ばしてきた。
「みんな、どうしたの? 僕は大丈夫だよ。それより、僕……」
どうしてだろう、上手く喋れない。
真吾の頬のラインに沿って、鳥乙女がすっと指先を滑らせる。静かに頬から離れた第十使徒の指先がきらきら輝いているのを見て、真吾は自分が泣いていることに気づいた。
後半はほとんど同じですが前半は結構違う没話
書き直したいまの流れのほうがいいかなって思ったので、最初考えた12話~は没にしました! いまごろこっそり公開してみる
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